研究課題/領域番号 |
05354026
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
矢崎 義雄 東京大学, 医学部(病), 教授 (20101090)
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研究分担者 |
松原 弘明 関西医科大学, 医学部(病), 助手 (10239072)
川口 秀明 北海道大学, 医学部(病), 講師 (70161297)
中尾 一和 京都大学, 医学部(病), 教授 (00172263)
多田 道彦 大阪大学, 医学部(病), 教授 (90093434)
古賀 義則 久留米大学, 医学部(病), 助教授 (50080669)
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キーワード | 心筋細胞 / 遺伝子発現 / 心不全 / 心筋症 / BNP / IL-6 / アンヂオテンシン / カルシウムポンプ |
研究概要 |
本年度は、心筋特異的に発現する遺伝子とその制御機構について解析し、心肥大や心不全などの病態形成の原因となる遺伝要因や分子レベルの変化について検討を行なった。まず心筋特異的に発現するホメオボックスCsxのcDNAと遺伝子がマウスおよびヒトで単離された。Csxは最近明らかになった心筋で発現するbHLH蛋白との関係を明らかにするうえで重要な手掛かりを与えるものである。心筋梗塞や梗塞後再灌流における心筋障害の機序として低酸素、再酸素化、およびacidosis刺激が心筋細胞のIL-6産生を増強することウィルス性心筋炎における細胞傷害には、スーパーオキサイドが関与することが明かとなった。アンジオテンシンII(AII)は心筋線維芽細胞のコラーゲン合成を促進させ、高血圧自然発症ラット(SHR)では心筋の線維化にAIIが重要な役割を果たしていることが示された。ナトリウム利尿ペプチドファミリーBNPは急性の心室筋負荷刺激に対し極めて迅速にその遺伝子発現が亢進し、constltutive pathwayにより速やかに分泌される。またBNPは、そのmRNA3'非翻訳領域のATTTA反復配列によりANPに比べその半減期は著しく短い事も明かとなった。甲状腺ホルモンは遺伝子転写を介して筋小胞体Caポンプとその調節蛋白質ホスホランバン(PLN)の発現を変化させ、Caポンプ活性、親和性を増加した。またCaポンプとPLNの相互作用部位がPLNドメインIaであること、Ca遊離チャンネルでは615Argの活性調節における重要性が示された。 日本人肥大型心筋症患者の心筋βミオシン連鎖遺伝子の構造解析を行い、172名の患者中20名に13種のミスセンス変異を見いだした。このうち2種については心室筋で変異遺伝子の発現を確認した。一方、本症多発家系の解析から、少なくとも25%は心筋ミオシン変異に起因しないことを明かにした。また、筋収縮に関わる遺伝子群の単離、染色体マッピング、発現の組織特異性を解析し、心筋に発現し、骨格筋には発現しないものは、心房筋型ミオシン調節軽鎖、心筋型トロポニンC鎖および心筋型トロポニンエ鎖の遺伝子であることを見いだした。
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