研究課題
一般研究(A)
本研究の目的は、発掘調査によって得られた遺構図のデジタルマップのデータを用い、古代律令制下における土木建設に関する計画手法を解明する有力な資料作成システムの構築およびその実用性の検討である。方法は、当該遺構のデジタルマップのデータを加工・編集・表示することができ、多角的な比較・検討を実行できるシステムを作成することによるものである。本研究においては、汎用ワークステーションを採用し、発掘調査によって明らかになった遺構を解析図化機を用いて図化したデータによって、遺構の時期的変遷や遺構属性の空間的配置をデータ属性ごとに加工・編集・表示するとともに、コンピュータ・グラフィックスを用いた地形の復原、鳥瞰図の作成を行うシステムを作成した。平成5年度は、解析図化機(AC3)を用いて空中写真より作成した等高線図、遺構図のデジタルデータを汎用ワークステーション(AV310C)に移行し、主に遺構図を加工・編集するプログラム(遺構図加工編集システム)の骨格を作成した。平成6年度は、5年度の成果を補完するかたちで、データ軽量化機能の充実(間引き処理の改善とUNDO機能の追加)、属性別・時期別の線表示法・色分け表示の追加などの機能増強を図った。これによって、属性別及び時期別の遺構図を加工・編集することができ、模式図や遺構番号等のデータを一括して管理することができるようになった。また、LAPLASを併用することによって、データを扱う対象範囲で遺構の鳥瞰図を作成することができるようになった。さらに、AC3からAV310Cへのデータ受け渡し→遺構図加工編集システム→LAPLAS(地形造成支援システム)→AV310CからAC3へのデータ受け渡し→プロッターへの出力までの一連の機能が稼働する環境を整備した。以上により、デジタルマップを加工・編集・表示することが比較的容易に実現できることが明らかとなった。