研究課題
前年度作成した、国文学研究資料館が過去に調査した公立図書館のリスト(基礎台帳)をもとに、従来充分に調査されていない図書館の調査を行った。またその後得られた情報や資料にもとづいてさらに台帳の整備充実をはかった。近畿・中部地区を今年度はおもな対象にし、浜松市立図書館・磐田市教育委員会・名古屋市博物館等々の調査を試みたが、情報に応じて特定の地域に限定せず、緊急を要する箇所を重点的に行った。須賀川市立図書館、白河市立図書館、大石田町立図書館、愛媛県立図書館、長崎県立対馬歴史民俗資料館、沖縄県立図書館宮古島分館等々に赴き、種々の情報交換を行い、所によっては可能な範囲で実際の調査に入ることができた。前年来、続いている沖縄県立図書館の東恩納文庫は調査が完了し、ひき続き収集に入る予定である。昨年終了した石垣市立八重山博物館とあわせ、沖縄の資料の主要な部分がかなり解明されたといえる。琉球文学の日本文学における意義をとらえる最も基礎的な作業であり、いずれも目録を刊行したいと考えている。近年とみに各地の図書館が充実してきており、個人の蔵書も図書館に寄託されるケースがふえ、今まで知られていない資料が次々と発掘されつつある。すでに目録も刊行された著名な図書館もあるが、一方でほとんどその存在を知られていない埋もれた図書館の資料やいまだにその全貌がつかめていない図書館も少なくない。そうした格差を是正し、国文学関連資料の全貌をつかむための基礎的な目録作りや総合的な実体調査が急務であることを改めて実感した。実に息の長い仕事であることを痛感する。