研究課題
本年度も、前年度に引き続き、全国各地の公立図書館に所蔵される日本文学関係資料の所在に関する調査を進め、(1)調査台帳の継続的作成(2)目録の収集(3)情報の交換(4)正式の調査と撮影の許可交渉(5)個々の図書館における具体的な蔵書調査、などの活動・研究を行った。本研究は年度毎に重点対象地区を設定し、平成7年度は、主に近畿・中部地区を中心に調査を行ったが、大阪府・京都府・兵庫県・愛知県などでは、既に各種の目録が比較的多く刊行されていることが分かり、それらを収集し総合することで、日本文学関係資料の所在の概要を把握し得るとの見通しを持った。また、三重県下では、三重県立図書館・津市立図書館・松阪市立図書館などに日本文学関係の古典籍が所蔵されることを知ったが、主に業務用として纏められた目録のうちには、歴史資料を文書学の立場から分類したものが多く、その中から日本文学関係資料のみを抽出するという作業が必要となる。なお、三重県では県立図書館が中心となり、県下に所蔵される日本文学古典籍資料の総目録作成の構想が進行中である。この他、静岡県下の静岡市立図書館・浜松市立図書館・掛川市立図書館等にも古典籍が所蔵されることをつきとめたが、一部は未整理のまま保管されているものもある。全国的なネットワークのもとに調査を遂行する上で、各地の公立図書館の刊行する目録類に依存する割合は大きいが、それらを通見して、各(都道)府県毎に、県下の日本文学関係資料を一括把握している県とそうでない県との区別を、具体的に掌握しつつあり、また、教育委員会はじめ既に調査の進んでいる機関については、関与しにくい状況のあることも分かった。