研究課題/領域番号 |
05401017
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研究種目 |
一般研究(A)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
植松 秀雄 岡山大学, 法学部, 教授 (60032702)
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研究分担者 |
吉原 達也 広島大学, 法学部, 教授 (80127737)
加藤 浩 岡山大学, 文学部, 講師 (00204488)
守屋 明 岡山大学, 法学部, 教授 (30127592)
西村 稔 岡山大学, 法学部, 教授 (40127577)
江口 三角 岡山大学, 法学部, 教授 (10036113)
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キーワード | レトリック / 教養 / 教育 / 弁論 / 法律家 / プラトン / アリストテレス / キケロ |
研究概要 |
研究目的の第一点とした古典レトリックの原像の探求、および中世から近代におけるレトリックの発展と没落に関しては、まず第一に、西欧古典哲学におけるレトリックの実像を、アリストテレスの「レートリケー」、「トピカ」、キケロの「de inventione」、「de oratore」に即して研究することによって、これまでほとんどわが国では知られていなかった、複雑かつ巧妙な古代のレトリック技法が明らかとなった。また、これを通じて、現代のレトリック論議において不正確に使用されている術語およびその訳語(argumentatio,dialecticaなど)の整理が相当進捗を見た。第二に、レトリックの歴史に関しては、西欧中世と近世におけるレトリックが、近代のように文芸の狭い領域だけに限定されず、聖職者や法律家、行政官、顧問官、外交官の養成において重要な役割を果たしていたことが明らかになり、また、そうした役割が近代合理主義の科学観や教育・学問におけるラテン語と古典学識の衰退によって、さらに政治的には功利主義的絶対主義によって空洞化されてゆき、レトリックが現代の文体修辞学へと狭隘化していく過程が確認された。しかし個々の歴史的事実についてはなお探求すべきことがらが多く、とりわけレトリックが啓蒙主義時代においても存続していたという事実がいかなる意味をもつのかということは、今後の研究課題となる。研究目的の第二点については、わが国近世の法技術においてレトリック的視点(「経」と「権」)が存在したことが明らかとなり、この事実が明治時代の西欧近代文化の受容とどのような関わりをもつのかということが、探求されるべき問題となる。研究目的の第三点(現代におけるレトリック理論)は、すでに蓄積された研究成果の一層の深化が図られ、第四点(裁判外レトリック)とあわせて、今年度の成果と結びつけることが最も重要な課題である。
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