次のような研究、準備を行なった。 1)希釈冷凍機を実際に運転し、冷却の時間的過程、到達最低温度、冷却能力などを調べて、アクシオン検出に必要な運転条件を決定した。現在最低温度8mKを得ている。 2)超伝導ニオブ(Nb)および高純度銅による共振空洞を、それぞれ製作して特性を調べた。また、電磁場解析コードSuperfishを用いて空洞内の電場分布を求めて、二つの空洞を結合した際の特性を求め、測定値と比較した。これにより、最適な空洞結合系を決定した。 3)半導体レーザーの外部共振器系を製作し、実用化した。これにより、第3段目のレーザーの単一モード化の達成、発振波長幅の狭帯域化が可能になった。 4)目的とするリドベルグ原子を生成し、その準位のシュタルクシフトを測定して、ポーラライザビリティ(Polarizability)を求めた。この結果、アクシオンの質量に応じて変化させる必要がある準位間隔を微細に調節する為の電場の大きさが正確に予測出来るようになった。 5)アクシオンと光子の共振空洞中での相互作用を、量子論的に取り扱う理論を展開し、実際的な条件下で必要なアクシオン転換光子の検出確率を数値計算により求めた。この理論と数値計算結果は論文として現在投稿中(Physics Letters誌)。 6)アクシオンと光子との空洞中でのコ-ヒーレントな相互作用を量子エレクトロニクスの理論に従って展開した。この結果は今後のアクシオン探索の実験的な研究に利用される。この結果はすでに論文として発表されている(Physics Letters誌)。
|