1)リドベルグ原子生成用の3段目半導体レーザーに、外部共振器を加えて、広範囲の波長変化を単一モードで行なえるようにした。この結果、約70nmの範囲で波長変化が可能になり、Rbのリドベルグ原子で主量子数n=33から200以上にわたって励起可能となった。 2)希釈冷凍機に共振空洞を設置し、レーザー導入用のミラーなどの必要部品をセットした状態で冷却して、約30mKまで到達した。さらに、改良を加えて、10mKまでの当初目的に達することはほぼ可能であることが分かった。 3)アクシオンとリドベルグ原子との空洞中での相互作用を量子論的に扱い、アクシオンが転換されて出来た光子をリドベルグ原子が吸収する効率を求めた。これには、空洞壁からの雑音光子の寄与も計算されている。この結果、10mKまで空洞を冷却すれば、十分な信号対雑音比で、アクシオンが検出可能な事が分かった。 4)上記の理論的・実験的研究に基づき、現在約10μeV近辺のアクシオン質量領域の探索を開始している。ほぼ予想通りの検出効率が得られている。
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