研究課題/領域番号 |
05402007
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 繁 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10005796)
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研究分担者 |
田中 章順 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40250667)
鈴木 章二 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10091703)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1996
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キーワード | 逆光電子分光 / 非占有電子状態 / f電子系 / 軟X線逆光電子分光 / セリウム化合物 / 共鳴逆光電子分光 / 真空紫外線逆光電子分光 / uranium compound |
研究概要 |
1.本研究課題の最大の目的である軟X線逆光電子分光装置を完成し、セリウム化合物の真空紫外線領域でのBIS(制動放射等色線スペクトル)測定、共鳴逆光電子分光測定を行った。 2.分光機構は設計通りの性能を達成したが、励起電子を発生させる購入品の電子銃の安定性が悪く、しばしば故障し、研究上の障害になっていた。それで、新たに設計したピアス型の電子銃を完成させた。この電子銃は、十分な試料電流がえられ、ほぼ平行な電子流となるので、今後、角度分解逆光電子分光へと研究領域が広がるものと期待される。 3.この装置を用いて、不完全4f殻を持つ希土類化合物、CeB_6、CeNi_5、Ce_7Ni_3、参照系としてLaNi_5の逆光電子分光測定を行った。 (1)CeB_6は高濃度近藤効果を示す物質として知られ、基底状態では3価であり4f電子数はほぼ1である。共鳴逆光電子分光法により、4d内殻励起閾値付近(〜120eV)で測定を行ったところ、共鳴増大する4f^2終状態に起因する構造が観測された。この構造と、すでに報告されている光電子分光測定の結果から、直後、4f電子の電子間クローン相互作用の値を求めることができた。 (2)CeNi_5、Ce_7Ni_3は価数揺動物質であり、基底状態では4f^1(3価)と4f^0(4価)の混成状態となっている。真空紫外線領域のCeNi_5のBISスペクトルには、この2つの基底状態に対応した4f^1、4f^2終状態による2つの構造が明確に観測された。しかし、Ce_7Ni_3では4f^2ピークのみが観測された。これは4f状態と配位子との混成の違いを反映している結果である。 4.いくつかの測定を行った結果、まだ、電子銃の試料上での収束が大きく十分な分解能が得られていないこと、もっと高いエネルギー領域まで安定した測定ができるようにすること、検出器効率の波長依存性の検討など、さらに改良すべき問題点が明らかになった。 5.相補的な情報を得るため、本研究の主な研究対象であるCe化合物、U化合物のX線光電子分光、X線逆光電子分光、共鳴光電子分光測定を行った。
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