研究概要 |
本年度は、昨年度の結果を踏まえ、SrTiO_3基板上に強誘電体であるBaTiO_3薄膜を成長した。BaTiO_3は組成によって多くの相を有しており、組成比が良質の薄膜を得る上で重要なパラメータとなるのは明らかである。我々の所有する水晶振動子膜厚計によれば、ほぼBa/Tiの比が1:1近傍の狭い範囲において良質の薄膜が成長した。しかし、この比が大きくずれるところでは、明らかに別の酸化物が成長しており、しかも単結晶ライクになっているために、RHEED(反射電子線回折)だけではこれを識別することは困難である。そこで、我々はX線回折を併用して生成物の同定を行った。一方、Tiの蒸発速度が十分に稼げないために、交互蒸着法による条件出しも併せて行った。作製した薄膜の構造を評価するために、さまざまな,ジオメトリのX線回折を行っている。その結果、薄膜特有のラウエ関数を反映する強度の振動が見られ、単結晶配向はもちろんのこと、極めて平坦な薄膜が得られていることが分かった。また、ω方向の幅も極めて狭く、かつてないほど配性が高く基板面内も長い相関長をもって成長している。誘電率の測定も行ったが、膜厚が薄くなるほど誘電率が減少する結果を得たが、現在、電極や膜の(深さ方向の)均一性の問題であろうと推定している。
|