研究課題/領域番号 |
05402011
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遠藤 康夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00013483)
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研究分担者 |
伊藤 晋一 高エネルギー物理学研究所, 助手 (00221771)
武田 全康 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70222099)
廣田 和馬 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90272012)
山田 和芳 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70133923)
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キーワード | 偏極中性子導管 / 偏極中性子 / 磁気散乱 / パルス中性子 / スーパーミラー |
研究概要 |
前年度中に、高エネルギー物理学研究所ブ-スター利用中性子散乱施設に設置した偏極中性子スペクトロメーター(TOP)への偏極中性子導管の設置を終了したので、今年度は、その性能の評価と、実際にそれを用いた偏極中性子散乱実験を行った。偏極導管は、以前の偏極子に比べて、長波長領域でも、95%以上の偏極効率を持つことが確かめられた。また、試料位置での偏極中性子強度も、従来のものに比べて、約2倍に増強することができた。ただし、11Å以上の中性子が全く使えなくなったが、もともと、中性子強度の弱いところであるので、使用の際とくに問題となるわけではない。どの波長まで偏極することができるかは、偏極子として使っている特殊な鏡(偏極スーパーミラー)の性能で決まる。現在の偏極スーパーミラーには、偏極中性子導管の製作を始めた2年前に比べて、飛躍的な性能の進歩があり、このミラーを使って、さらに偏極導管の性能向上をめざす作業が進行中である。TOPは、共同利用の分光器であるため、我々が、占有することができないが、今年度は、実際の実験として、Co/Cu人工格子の反射率測定を行うことができた。 原研3号炉、6Gに設置されたTOP AN(東北大学中性子分光装置)での偏極実験については、偏極子として使用しているホイスラ-結晶に熱処理を加えることで、その性能が飛躍的に向上するとの情報が、フランスのILL研究所よりもたらされた。そのため、ILLに熱処理を依頼したが、思うような結果を得ることができなかった。現在、結晶の性能回復に向けての、最適な再熱処理条件を探る実験が進行中で、早期の実験再開にむけて努力しているところである。 これからも、実験装置の性能向上に力を注ぎつつ、偏極中性子を用いた研究成果を出していきたいと考えている。
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