研究分担者 |
清水 以知子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40211966)
中嶋 悟 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80237255)
田賀井 篤平 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (40011738)
鳥海 光弘 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10013757)
藤井 敏嗣 東京大学, 地震研究所, 教授 (00092320)
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研究概要 |
本研究の目的は,透過型電子顕微鏡を導入し,地震研究所に既に設置されている5台の変形試験機と併用して,岩石の変形機構とレオロジーを総合的に研究する体制を整えることであった.本年度は3年計画の最終年度であり,これまでに得られた重要な成果は以下の通りである. (1)リソスフェアのレオロジーを確立する上で特に重要なマイロナイト(断層深部を構成する岩石)の電顕観察をおこなった.その結果,これまでに高温塑性流動の変形実験によって示されていた転移密度と粒径の関係とは違って,高応力に対応するはずの細粒部ほど転位密度は低いことが明らかになった.この結果は,マイロナイト中の変形微細組織は定常的な流動変形の組織を保存しているのではないことを示している.天然のマイロナイトでは,変形時の組織が改変されてしまった可能性が高い.変形後の組織変化も含めた総合的な変形解析が必要である. (2)高温二軸変形試験機を用いて,脆性領域から中間領域を経て完全塑性領域に至る断層の挙動を,温度が圧力に比例して増加する条件下で初めて実験的に調べた.その結果,リソスフェアを横切って初めて強度断面を決定することができ,マイロナイトの形成条件と地震の下限のレオロジー的位置を明らかにすることができた. (3)回転式高速摩擦実験によって,シュードタキライトの形成過程をほぼ完全に実験室で再現するとともに,断層の地震性高速運動による摩擦加熱が断層の性質に大きな影響を与えることを示した.地震の発生過程をモデル化するためには,地震発生時の断層運動そのものが断層の性質を変えるという非線形性を考慮する必要がある.
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