研究課題/領域番号 |
05402030
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
井川 直哉 大阪大学, 工学部, 教授 (60028983)
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研究分担者 |
打越 純一 大阪大学, 工学部, 教務職員
島田 尚一 大阪大学, 工学部, 助教授 (20029317)
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キーワード | 超精密切削 / 切削機構 / 計算機シミュレーション / 分子動力学 / 切削抵抗 / 切削温度 |
研究概要 |
本研究は分子動力学法を応用して、原子レベルでの除去加工機構および加工精度の到達限界を明らかにし、その結果を実用機械加工に応用して極限精度での加工を実現しようとするものであり、今年度の主な研究成果は次の通りである。 1.分子動力学法を用いて、極微小領域での材料挙動を解析できる手法を開発し、極微小切加工現象を解析した結果、転位の発生とその移動および相互作用にもとづく切くずおよび仕上面創成機構を原子レベルでよく理解することができた。また、切くず形態および切削抵抗の観点からは、分子動力学法を用いた計算機実験と極微小切削実験の結果とが良い整合性を示し、本手法の妥当性が確かめられた。 2.分子動力学法は本質的に金属材料中の温度分布の解析には不向きである。そこで、材料中の温度勾配を圧縮することによって熱伝達を補正できる手法を提案し、極微小切削における工具切刃近傍の温度分布の解析を試みた。その結果、従来報告されている連続体モデルを用いた解析結果およびマクロなレベルでの測定結果と良く一致した。また、数μmの直径をもつ極細の熱電対と高速デジタルオシロスコープを用いて、極微小な切削領域での切削温度の測定を試み、今まで報告されていなかった微小領域での切削温度の測定が可能であることを示した。 3.極限工具材料として用いられるダイヤモンドの微小損耗特性を、切削状態を模擬した、被削材との接触加熱実験を通して解明することを試み、鉄との接触のものではダイヤモンドの鉄中への直接拡散と鉄の触媒作用にもとづくダイヤモンドの酸化の両方が生じることを明らかにした。
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