研究課題/領域番号 |
05402036
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
畑村 洋太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40010863)
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研究分担者 |
光石 衛 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (90183110)
佐藤 知正 東京大学, 先端科学技術センター, 教授 (50235371)
森下 広 (有)HMI, 代表取締役研究員
中尾 政之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (90242007)
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キーワード | 微細加工 / マイクロマシン / 微細組立 / 高速原子線 / 紫外線レーザ / 振動切削 / 一貫工程 / 電子顕微鏡 |
研究概要 |
最終年度である平成7年度では、まず、既に開発した機構である、マイクロ工具、ナノマニピュレータ、臨場感支援システム、支配要因変換ソフトウェア、などを統合し、これらを真空環境へ拡張した。次に、そこでこの統合システムを用いて微小構造体を実際に試作し、最後に、その結果から基本コンセプトの妥当性を確認した。 1)真空環境へのシステムの拡張 高速原子線によるエッチングによる形状作成と、SEM観察下の作業(組立・検査・分析など)と、を機構的に結合する真空環境を作成した。振動振幅を能動的に制御して1nm以下と微小に小さくできる1.6mm×0.9mmのテーブル上に、形状作成室と作業室とロードロック室の、3つの真空室を配した。この間を、真空環境用の配送ロボットによって、配送専用パレットに固定された微細試料が移送される。また、作業空間に多くのモータや軸受けなどの機械要素を配したにもかかわらず、高速原子線やSEMの機能に支障が生じない10^<-4>Paオーダの真空度が達成できた。 2)個別分野への適用によるナノ・マニュファクチャリング・ワールドの総合確認 被加工物として供したマイクロマシンや情報素子などを、真空中の本ワールドで実際に観察しながら加工して、その結果から本ワールドの基本コンセプトの妥当性を確認した。まず、高速原子線で微細にエッチングして、量子効果素子用の幅30nmの溝、小形CCD用のマルチレンズ、磁気ヘッド用の高さ30nmの角形凹凸、などを形状作成し、また、作業用の16自由度を有するナノマニピュレータや、2つのSEM鏡筒から得られる上からと横からの画像情報によって微細作業の臨場感を増強した臨場感支援システムを用いて、内視鏡用の接合レンズ、全長0.4mmの紙飛行機、などを組み立てた。 これらの試みを通して、本ワールドが微細な作業を実現する一つの総合システムとして完成したこと、当初の基本コンセプト通り、通常の世界に住む人間が微小な世界に入ったかのごとく運転できること、などを確認した。
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