研究分担者 |
前田 昭徳 愛知工業大学, 工学部, 講師 (40078910)
落合 鎮康 愛知工業大学, 工学部, 教授 (10078909)
内田 悦行 愛知工業大学, 工学部, 教授 (20023187)
小嶋 憲三 愛知工業大学, 工学部, 教授 (30064942)
大橋 朝夫 愛知工業大学, 工学部, 教授 (20023244)
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研究概要 |
蒸着試料として,非線形光学材料として注目をされているバナジルフタロシアニン(VOPc)を用いた。蒸着時の真空度が10^<-8>Pa(高真空)で,試料を基板面に蒸着した。蒸着基板として,石英,雲母を採用した。蒸発源温度は400と300℃を用いた。VOPc粉体を1(t/cm^2)でプレスした板と異なる基板温度,基板材料の条件で作製されたVOPc薄膜のX線光電子分光(ESCA)のスペクトルを比較した。マイカ基板上に蒸発源温度300℃で作製されたVOPc薄膜のESCAスペクトルのO1sがプレス板のスペクトルとよく一致した。マイカ基板上に蒸発源温度300℃で作製されたVOPc薄膜のESCAのO1sスペクトルは3個のピークをしめす。各ピークは低束縛エネルギー側から530.5,532.0,533.1eVに存在し、その組成はV-O-V,V-O=V,Oであると考えられる。溶融石英上に蒸発源温度300℃で作製されたVOPc薄膜のESCAのO1sスペクトルがプレス板のスペクトルと相違する。これはVOPc薄膜のESCAのO1sスペクトルのOの束縛エネルギーが化学シフトを起こし,534.7eVにシフトした。さらに,ピーク強度はマイカ基板上に蒸発源温度300℃で作製されたVOPc薄膜に比し約3.0倍増加したことを示す。これは溶融石英基板/VOPc薄膜界面の強い相互作用に関係していることが考えられる。溶融石英上に蒸発源温度400℃で作製されたVOPc薄膜のESCAのスペクトルの分析から,蒸着されたVOPc分子が一部破壊されていることを明らかにした。以上のことから,異なる基板材料上に作製されたVOPc薄膜のESCAスペクトルが相違することは基板/VOPc薄膜界面の強い相互作用に関係し,基板上の配向に強い関連があることを示唆する。
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