研究分担者 |
前田 昭徳 愛知工業大学, 工学部, 講師 (40078910)
落合 鎮康 愛知工業大学, 工学部, 教授 (10078909)
内田 悦行 愛知工業大学, 工学部, 教授 (20023187)
小嶋 憲三 愛知工業大学, 工学部, 教授 (30064942)
大橋 朝夫 愛知工業大学, 工学部, 教授 (20023244)
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研究概要 |
分子線エピタキシ-(MBE)法による光非線形性薄膜の作製手法の確立を達成し,薄膜の配向,配列制御技術の知見を得た。さらに,薄膜の電気特性から,薄膜の形態解析へ電気特性が適用できることを示した。 (1)プレスVOPc板に比し基板温度(Ts):室温,蒸着時間(Tt):60分で作製されたVOPc薄膜の01ピークが高束縛エンエルギー側へシフトするのは,基板が室温であることから,基板表面上の残存する吸着酸素の影響が考えられる。Ts:室温,Tt:60分と基板予備加熱温度(Tp):200℃,Tt:190分の各条件で作製された薄膜を比較すると,Tp:200℃で作製された薄膜の束縛エネルギーが低下する。これは基板を200℃で予備加熱することにより,雲母基板表面上に残存する吸着酸素が減少したことが考えられる。さらに,束縛エネルギー低下の要因として,雲母基板表面に存在する水素との相互作用の影響が大きいことが考えられる。 (2)X線回折装置により,プレスVOPc板,MBE法(Ts:200℃,Ts:200℃,Tt:190分)で作製されたVOPc薄膜の配向を検討した。プレスVOPc板のX線回折結果から,回折角の変化に対し多数のピークが存在し,ランダム配向していることが示された。MBE法で雲母基板上に作製されたVOPc薄膜には,雲母基板に存在しない二個の顕著なピークが出現する。二個のピークから,分子の面間隔が3A,3.8Aであることが解析された。バナジルフタロシアニン分子は三角形の形をもつ平面分子である。三角形の底面の平面分子長が14A,頂点から底面までの分子長が3.2Aである。測定された面間隔から,分子が基板に大して平行に配向していることが示唆された。この結果はESCAで検討されたVOPc薄膜/雲母界面の相互作用を支持する。しかしながら,基板に対し2種類の平行配向が存在することは今後の課題である。 (3)光学非線形薄膜の配列および配向と電気特性の関係を検討し,光学非線形特性の評価を電気特性から評価が可能であることを指摘した。
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