研究概要 |
本年度は,新しい分散型画像データベース構築法の提案,階層的映像符号化の特性比較,ならびに動画像の国際標準方式であるMPEG2の特性改善等を中心に,以下に示す通り研究を行った. 1)人間の記憶形態に倣った分散型階層的画像データベース センターに設置された画像データベースを通信ネットワークを介して検索利用する大規模なシステムを想定した場合,ユーザの近くにサブ画像データベースを置き,利用度の比較的高いデータはこのサブ画像データベースにダウンロードし,ユーザはセンターデータベースに直接アクセスする代わりに,サブデータベースにアクセスすることにすれば,回線使用料やセンターマシンの処理への負担等の軽減が図れる.この時,限りのあるサブ画像データベースの蓄積容量を有効に活用するため,画像を階層的に符号化しておき,ユーザからアクセスされてから一定時間が経過するごとに,記憶しておく画像のサイズが縮小して行き,再び検索されると,不足分をセンターの画像データベースから補給してフルサイズに復旧する.また,最上位の階層画面(最も分解のの荒い画面)は,検索のキ-として保存しておく,この様に人間の記憶様式に似た画面蓄積形態を採り,サブ画像データベースに蓄積可能な画像数を飛躍的に増やすことが可能なシステムを提案して検討中である. 2)階層的映像符号化の特性比較 階層的符号化の一方式として,重畳直交変換(LOT)を採り上げ,これをスペクトル選択的階層的符号化に適応した場合,DCT方式より優れていることを示した. 3)MPEG2の特性改善 動画像符号化の国際標準方式であるMPEG2においては,シーンチェンジ直後は符号化情報量が急増するため,荒く符号化して符号量を減らすことが行われる.このため,画質劣化が目立つ場合が生ずる.これを避けるために,本研究では受信側でシーンチェンジ直前のフレームから動き予測を行って,仮想的にその後の数フレームの画像を作成して表示し,この間にシーンチェンジ後のフレームの符号化情報を時間をかけて伝送することにより,見かけ上画質劣化のない画像を表示する手法を考察し,シミュレーションにより所期の結果が得られることを確認した.
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