研究概要 |
本年度は,昨年度に提案した"忘れ上手なイメージデータベース"と名付けた新しい分散型画像データベース構築法の検討を中心に研究を展開した.インターネット上でのマルチメディアサービス等において提案する方式は極めて有効であると考えられる。 1)忘れ上手なイメージデータベースの方式検討 センターに設置された画像データベースを通信ネットワークを介して検索利用する大規模なシステムを想定した場合,ユーザの近くにサブ画像データベースを置き,利用度の比較的高い画像データはこのサブ画像データベースにダウンロードし,ユーザはセンターデータベースに直接アクセスする代わりに,サブデータベースにアクセスすることにすれば,回線使用料やセンターマシンの処理への負担等の軽減が図れる.この時,限りのあるサブ画像データベースの蓄積容量を有効に活用するため,画像を階層的に符号化しておき,ユーザからアクセスされてから一定時間が経過するごとに,記憶しておく画像のサイズが縮小して行き,再び検索されると,不足分をセンターの画像データベースから補給してフルサイズに復旧する.また,最上位の階層画面(最も分解の荒い画面)は,検索のキ-として保存しておく.この様に人間の記憶様式に似た画像蓄積形態を採り,サブ画像データベースに蓄積可能な画像数を飛躍的に増やすことが可能なシステムを提案して検討した. 2)忘れ上手なイメージデータベースの理論的検討 理想的な仮定の下で,サブデータベース内における階層的符号化された静止画像の振る舞いを示す状態遷移図を作り,これを基に平均のメモリー占有量,データ補充のために発生するトラフィック量を、各種パラメータ値に対して理論的に求めた.また,計算機シミュレーションを行い理論値とよく一致することを確かめた.この結果,提案するメモリー蓄積方式は通常のキャッシュ方式に比べ,メモリー占有量やトラフィック発生量とも大幅に改善できることが明らかとなった. 3)忘れ上手なイメージデータベースの実装実験 4台のSS20およびSS10ワークステーションをATM回線で接続し,この内の1台をセンターデータベースに、他の3台をサブデータベースに見立て,512×512画素,24ビット/画素のフルカラー画像役00枚を4階層の階層的符号化して対象とするデータとした.このシステムを用いた実験の結果,提案する分散画像データベースの実現可能性を確かめた. 4)3次元画像データベース入力手法の検討 3次元形状データを蓄積伝送する3次元画像データベースシステムの為の入力手法として共軸複眼カメラシステムや単眼運動立体視システムを提案し,シミュレーション及び実画像を用いた実験により評価を行った.
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