本研究は、自由ピストン2段膜衝撃波管で作り出される空気中の強い衝撃波背後の非平衡領域での振動温度の測定に焦点を合わせている。測定の手法としてレーザー・ラマン計測法の適用を予定しているが、第1年目にあたる今年度はその準備段階として、(ア)スペクトル計測システムの開発、(イ)ラマン計測法の予備研究、を予定した。(ア)スペクトル計測システムの開発:このシステムは、ポリクロメータ/高速ゲート・イメージインテンシファイア/CCDカメラ(2次元ダイオードアレイ)/データ処理システムにより構成されている。これらの装置を購入し、調整を行ない、予備的な実験を行なった。現在(3月上旬)のところ、(1)空気中の強い衝撃波の非平衡領域からの全体の光放射の2次元画像の撮影、(2)2μsゲートによる分光観測データとデータ処理、に成功している。このデータは、昨年7月にマルセイユで開催された国際会議でNASAのAMES研究所が発表したデータに匹敵するものである。今回購入した装置では、15nsまでの短時間ゲートでの観測が可能なので、現在世界最高の時間解析データの観測データを得るための実験の準備とその高速画像処理コードの開発を行いつつある。(イ)ラマン計測法の予備研究:ラマン計測に必要な高温空気でのストークス遷移についての分光的解析コードの開発に成功し、平衡および非平衡空気の場合の数値解析の結果を得た。次年度に講入するヤク・レーザーを用いてラマン信号を観測し、解析結果と比較して衝撃波背後の非平衡領域の振動温度の分布を測定する。
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