本研究は、自由ピストン2段膜衝撃波管で作り出される空気中の強い衝撃波背後の非平衡領域でのレーザーラマン計測法による振動温度の測定に焦点を合わせている。今年度の成果を列記すると、(ア)衝撃波管特性の把握:YAGレーザーのパルス信号と衝撃波面との同期をとるためには、安定した速度の衝撃波を発生させる必要がある。そのために、ピストン圧縮過程、中圧管特性、低圧管特性などについて、実験と数値解析を行い、破膜開口時間が性能に大きな影響があることがわかった。また、数%の誤差で安定した強さの衝撃波を得ることができるようになった。(イ)ラマン信号の観測:レーザー強度が不足していたため、ラマン信号を十分に観測できなかったが、レーザーのグレードアップによって常温・大気圧でも十分なラマン信号が得られるようになった。衝撃マッハ数2〜3の弱い衝撃波背後の流れに対してラマン信号を得ることができた。(ハ)2次元発光形態の観測:前年度において、強い衝撃波背後の発光分光計測がなされたが、同じ条件下で異なる発光プロフィルが観測された。確認のため、全発光強度の2次元画像をCCDカメラで撮影した。速度11km/s付近で1峰性から2峰性への発光プロフィルの遷移がみられること、従来の多温度モデル解析解と比べて発光ピーク幅が狭いことなどのことが見出だされた。(ニ)発光分光計測:昨年度に引き続き、発光分光データの集積と分析が行なわれつつある。
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