本研究は、宇宙船の大気圏再突入における衝撃波加熱の問題に関連して、自由ピストン2段膜衝撃波管で作り出される空気中の強い衝撃波背後の非平衡領域でのレーザーラマン計測を行うことを主な目的とした。 研究の経過と成果を以下に示す。 (1)自由ピストン2段膜衝撃波管特性に関する研究:10km/s付近の高速度で進行する衝撃波面を的確に捉えるためには、衝撃波管の特性の安定化が必要なので、衝撃波管特性の研究がなされた。特に破膜時間長さが中圧管特性に顕著な影響を与えることが明らかにされた。また、特性の改善により、データの再現性を向上させることができた。 (2)画像分光システムによる衝撃波自然発光の観測:分光システムの検証のため、空気中の強い衝撃波背後からの自然発光の観測がなされ、ストリークカメラとIICCDカメラの結合により、時間と波長を同時に分解する画像分光システムの技術を確立した。空気中の強い衝撃波背後の非平衡発光に関して、全体発光のプロフイルやN_2^+(-1)発光帯の時間変化の特性などについて、新しい知見を得ることができた。 (3)ラマン計測に関する研究:YAGレーザーを用いたラマン計測システムを開発し、いくつかの物質について、ラマン信号を得ることができた。また、空気中の強い衝撃波背後からのラマン信号解析法を導いた。しかし、空気中の衝撃波に対しては、現在のシステムにより十分なラマン信号強度を得ることはできなかった。今後、レーザー(強度)の増強、CARSへの転換などを図ってゆく必要がある。
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