本年度は、主として三重県の安濃ダムを対象として、ダム貯水池の濁水長期化現象を現地観測と、鉛直一次元モデルによって解析し、濁水軽減法について検討した。 1993年9月9日の14号台風は、津市を直撃し、津市上流域に位置する安濃ダムでは、時間降雨100mmを超す豪雨に見舞われた。このため、安濃ダムには、200年確率を越える流量の高濃度の濁水が流入した。安濃ダムに対しては、既に、以前から観測体制を敷いていたので、この洪水を捕捉し、洪水時の流水の採水に成功した。また、その後も継続して、湖中水や流入水を採水し、水質の分析をおこなった。 一方、気象・水文データから、湖中の水の濁水の流動をシミュレーションモデルによって再現し、放流水の濁度を予測し、またその後は得られたデータと比較・検討した。このモデルによって放流水の濁度を軽減した場合の効果を検討した。軽減方法としては、ダムを迂回する放流水路による方法や、湖中に濁水防止膜を張ってダム放流口への流入をくい止める方法などが考えられる。 なお、滋賀県の愛知川上流の永源寺ダムにおいても、3年前にダムが長期にわたって濁り、下流へ濁水を放流し続けたことがあるので、現地に赴き、その時の資料を収集し、対策方法などについて議論した。
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