研究概要 |
内径5.0cmのアクリル円筒に洗浄した鳥取砂丘砂を乾燥密度1.55g/cm^3、高さ25.0cmで充填したカラムを10本作成した。5本のカラムは純水(水カラム)で、残りの5本はNaCl 0.1N溶液(塩カラム)で飽和させ、重力排水、24時間静置した後、実験を開始した。そして、所定の日数(0,3,7,14日)が経過した時点でカラムを1本づつ解体し、各深さの水分量、イオン量を測定した。なお、これらの実験を環境制御チャンバー内で、次の二種類の条件のもとで行った。実験1-温度40℃,相対湿度18% 実験2-温度30℃,相対湿度20% 水分収支・塩分収支の結果は良好であり、本研究の実験システムは水分・塩分の動態を精度良く測定していた。水カラムと塩カラムでは蒸発速度の経時変化に顕著な差がみられた。水カラムでは恒率乾燥が続いた後、急激に蒸発速度が低下し、再び恒率乾燥となった。一方、塩カラムでは実験初期より減率乾燥が続いた。外部温度が異なる場合においても同様の傾向がみられた。水カラムにおいて蒸発速度が低下した時の表層の水分量は約5%であり、これは毛管連絡が切断されるpF3.0に対応していた。 また、蒸発には気化熱が必要なため、蒸発面で地温は低下する。地温の最も低い位置は、徐々に低下しており、これは蒸発面の低下を示している。この動きは蒸発速度の変化に対応していた。次に、塩分量の増加すなわち集積は表層より始まり、地温の分布に対応しながら、集積層の厚みを増加した。このように土壌中では水分・塩分・熱が相互に影響し、連成輸送していることが明らかになった。
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