不飽和土壌中に空隙層を設け、鳥取砂丘砂を供試土に用いて、塩化ナトリウム水溶液で飽和後、重力平衡状態からの水分・塩分・熱の連成輸送の実験を、外部環境(温湿度)、地下水の有無、空隙層の位置を変えて、それぞれ行い、比較検討した。その結果以下のことが明らかになった。 (1)地下水を設置することにより蒸発量が増すことが明らかになった。これにより、地下水により水分供給がなされると、土壌中からの蒸発が無視できないことが明らかになった。また、本研究においてはそれを定量的に把握することができた。 (2)表層の水分ポテンシャルが低下し、毛管が切断されるまでは蒸発速度が一定の恒率蒸発が続き、その後、短期間、蒸発速度が低下する減率蒸発が生起した後、再び、土壌内部からの蒸発による恒率蒸発が続いた。この現象はすべての実験条件で生じた。 (3)表層温度と蒸発速度の間には高い相関が見られた。 (4)空隙層の位置による違いは蒸発のメカニズムには直接関与しないことが明らかになった。空隙の位置が浅い方が蒸発速度が急激に変化するのは、表層に供給しうる水分の保有量による違いのみであることが明らかになった。 (5)湿度が高い方が蒸発量が低下することが明らかになった。外気の蒸発能力には温度だけでなく、湿度も大きく影響し、湿度が20から50%になったときの蒸発速度の低下を定量的に把握した。
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