本研究計画の初年度として、以下の研究を実施した。 1.類似パターン集合の統計的特性を解明する研究 (1)位置の変動に関しての分布は既によく知られているが、伸縮問題については従来不明であった。この問題をある特種関数方程式を解くことにより、それが対数正規分布であることを解明した。 (2)変形の性格が規定された未知の集合に対する分布の型を、解析的に決定する一般的方法論を確立するための原型として、ポアッソン分布に対する従来とは異なる解析的導出法を、明らかにした。 2.視覚パターンを格子点上で表現する方法に関する研究 視覚パターンの連続的変形を、合理的に格子点上の表現に反映させるため、2次元同時多項式を用いた中心集約型の補間法を提案し、実用上充分な精度が保証できる式を理論的に定式化した。 この結果を用いて、パターンの同型変換や逐次導関数の導出が可能であることを、確かめた。 3.二階微分画像(図源)理論の新展開 視覚パターンの基礎方程式を踏まえて、視覚パターンのラプラシアンとして定義される図源に関する方程式を導出した。この方程式が従来の基礎方程式と同様、観測変換に対する不変形式を保つものであることを証明し、新たな理論展開の基盤となり得ることを明らかにした。 4.視点・視野の自動抽出法に関する研究 視点・視野を求めるには、超越方程式を解くことが必要になるが、従来の視覚パターンの代わりに図源を用いることによって、より信頼性の高い計算が実行可能であることを、実験的に確かめた。 5.自然観測法理論に関する研究 波形は画像と対を為す基本的なパターンであるが、上記の一連の研究を側面から比較検討するため、独自に展開してきた波形に対する自然観測法理論の研究を進め、体系化の理論構築を行った。
|