パターン認識基礎理論体系の高度化に関する研究

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05402061
• 研究機関: 北陸先端科学技術大学院大学
• 研究代表者: 飯島 泰蔵 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (50016622)
• 研究分担者: 岩城 護 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助手 (20262595) ; 赤木 正人 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教授 (20242571)
• キーワード: 図源 / 視覚パターン / 基礎方程式 / 超越方程式 / 対数正規分布 / 複合類似度法 / 超偏心度法 / 許容度

研究概要

本研究計画は本年度を以て最終年度を迎えた。過去3年に亘って行われた研究成果の概要は、下記に示す通り。
1.図源(2階微分画像)を基礎に置いた理論体系の再構築
従来の視覚パターンの基礎方程式を土台として、図源に対する方程式を導出し、これを基にして観測変換の構造解明を行った結果、視点・視野を求める超越方程式が、従来よりも簡潔な形式として確立することが出来た。
2.超越方程式の高速解法演算方式に関する研究
最急降下法による逐次解法演算が陥る基本的問題に対して、詳細な理論的研究を行い、その解決法を与えた。また逐次解が作る数列に対して、それが属する型の認識を行うことにより、収束から程遠い段階でその極限値を一挙に推定する画期的方法を確立した。これらの成果を基にした超越方程式の高速解法は、今後に残された。
3.パターンの基本的変形に対する確率分布の型の理論的決定
同形変換はパターン変形の中の最も基本的なものであるが、その変形が発生する確率分布の型を、理論的に解明した。特に伸縮問題に関してそれが対数正規分布を為すことを突き止めた成果は、大きいものである。
4.識別理論の新しい展開
(1)従来の複合類似度法からの脱却を試み、統計的決定関数論との融合を図る「超偏心度法」と名付ける超高性能識別法を創出した。この識別法は、複合類似度法の性能を遙かに凌駕するものであることが、確かめられた。
(2)類似度法の許容度を改善する方策として、逐次導関数展開に基礎を置くその多重化法を、新たに創出した。
目標とした基礎理論体系の高度化は未完成であるが、これらの成果によって長足の進歩が遂げられたと思う。

研究成果

• [文献書誌] 飯島 泰蔵: "画像の伸縮に関する確率分布について" 電子情報通信学会論文誌A. J76-A. 1368-1372 (1993)
• [文献書誌] 飯島 泰蔵: "ポアソン分布の理論的導出法について" 電子情報通信学会論文誌A. J76-A. 1482-1486 (1993)
• [文献書誌] 飯島 泰蔵: "自然観測変換の基礎理論" 電子情報通信学会論文誌A. J76-A. 1620-1626 (1993)
• [文献書誌] 飯島 泰蔵: "自然観測法理論(標準形式)の原点に関する考察" 電子情報通信学会論文誌A. J76-A. 1627-1630 (1993)
• [文献書誌] 飯島 泰蔵: "自然観測法理論における近接型と平衡型との間の関係について" 電子情報通信学会論文誌A. J77-A. 538-542 (1994)
• [文献書誌] 飯島 泰蔵: "収束性の悪い数列の高速極限値推定法" 電子情報通信学会論文誌A. J77-A. 767-774 (1994)
• [文献書誌] 飯島 泰蔵: "自然観測フィルタによる一般波形の受理と生成" 電子情報通信学会論文誌A. J78-A. 722-727 (1995)
• [文献書誌] 青木 泰浩: "図源の方程式とその物理的考察" 電子情報通信学会論文誌D-II. J78-D-II. 1298-1306 (1995)
• [文献書誌] 尾関 孝史: "実対称行列の固有値問題における最急降下法の加速法" 電子情報通信学会論文誌A. J79-A. 57-68 (1996)
• [文献書誌] 飯島 泰蔵: "有限和によって波形と再構成できる自然観測法の基礎理論-正規型自然観測法理論の展開-" 電子情報通信学会論文誌A. J79-A. 77-87 (1996)
• [文献書誌] 飯島 泰三: "収束数列の高速極限値推定法" 電子情報通信学会論文誌A. (採録決定).
• [文献書誌] 岩城 護: "離散時間波形に対する自然観測法について" 電子情報通信学会論文誌A. (採録決定).