研究課題/領域番号 |
05403001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
兼岡 一郎 東京大学, 地震研究所, 教授 (30011745)
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研究分担者 |
瀧上 豊 関東学園大学, 法学部, 助教授 (40206909)
金子 隆之 東京大学, 地震研究所, 助手 (90221887)
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キーワード | 希ガス同位体比 / ^<40>Ar-^<39>Ar年代 / 微小試料 / 地球進化 / レーザー加熱 / 海嶺玄武岩 / ガラス部分 |
研究概要 |
今年度は、先ず昨年度の当研究費で購入した希ガス測定用質量分析計(VG3600)の調整及びその基礎データを集積して、その信頼度の検討を行った。大気組成のアルゴンを用いてその同位体比及び感度の再現性などを検討し、デイリーコレクター部の汚れによるノイズの除去、標準ガス試料の量の調整、ガス試料の導入操作法の改善などを行った結果、当初見られていたガス圧の変化に伴う同位体比の変動などの問題は解決した。またアルゴンレーザー加熱によるガス抽出に関しての実験を昨年度から続けているが、有色鉱物については完全な脱ガスを行える条件を設定することが出来た。しかし石英や長石などの白色鉱物については、そのままでは熱の吸収率が悪く周囲へ熱が逃げてしまうので、各鉱物粒などにカーボンなどのコーティングをするなどの措置をとる必要があり、その具体的な方法を模索している。これらのレーザー加熱によって試料から脱ガスしたアルゴンに対して、VG3600を用いてアルゴン-アルゴン年代測定を試みた結果、現在の条件においても数10Ma程度の年代測定が可能であることが明らかになった。更にそれよりも若い年代値の試料に対してもレーザー加熱による年代測定を可能とするべく、ガス抽出系等を含むブランクの改善、質量分析計のノイズレベルの低下などを目指して実験を行っている。 また海嶺玄武岩のガラス部分を表層から内部へ2.5mmずつの厚さをもつ板状に切断してその希ガス量、同位体比の変化を調べた結果、直接海水に接している部分については海水からの希ガス同位体の影響があることが明らかになった。このことは、地球内部の希ガス同位体に関する情報を得るために用いる海嶺玄武岩のガラスについても、その用いる試料については少なくともその表層部は避けるべきであることを示唆している。
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