本研究は火山作用に伴って岩石中に取り込まれて地表に運ばれる気体の起源や組成・分布状態などの解明をおこなうことを目的としている。平成5年度には、ガスクロマトグラフを装着した高精度質量分析装置の導入を行い、気体試料中の各種炭素化合物について同位体比測定の基礎を確立するなど当初の目的を達成した。 具体的には、購入したGC/C質量分析計(Model Delta S/GC フィニガン・マット社製)について分析条件・精度の検討をおこなうなど分析方法の確立に重点をおいて研究をすすめた。その結果、採取した天然ガス試料についてC_1からC_5までの炭化水素を分離し、それぞれの炭素同位体比を測定できるようになった。分析に要する時間は1試料につき40分である。繰り返し再現性の結果は、0.5-1.5μlのメタンを導入した場合±0.2permilの精度が得られた。燃焼炉におけるメタンの燃焼効率は850度の条件下でほぼ100%という良い結果が得られた。この操作で懸念される燃焼に伴う同位体分別は生じなかった。 本研究の現時点で火山化学、同位体地球化学の専門家として世界的に知られているイタリア人研究者2名を共同研究者に加え、わが国に招へいし、火山ガスの採取、測定法の比較などを含めた共同研究を行い、レビューを受けることができた。以上のように次年度にむけて順調な進捗状態である。
|