研究課題/領域番号 |
05403002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
脇田 宏 東京大学, 理学部, 教授 (40011689)
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研究分担者 |
石橋 純一郎 東京大学, 理学部, 助手 (20212920)
中井 俊一 東京大学, 理学部, 助手 (50188869)
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キーワード | 火山ガス / 天然ガス / 炭素同位体化 / 火山岩 / 炭化水素 / マントル |
研究概要 |
本研究は火山作用に伴って岩石中に取り込まれて地表に運ばれる気体の起源や組式・分布状態などの解明を行うことを目的としている。平成6年度はGC/C質量分析計を用いて天然ガス・温泉ガス・火山ガスの炭素同位体比測定を中心に研究を進めた。まず火山ガスの基礎的データとして、箱根、大分県の久住、鹿児島県の薩摩硫黄島などで高温の試料を採取し、二酸化炭素とメタンの濃度及び炭素同位体比測定を行った。現在分析結果をマグマの温度との関係などを考慮して解析を進めている。中国本土の天然ガスについては既に200個以上の試料の炭素同位体比の測定を、二酸化炭素からC5化合物までについて行った。多くの試料ではメタン、プロパン、n-ブタン、n-ペンタンの炭素同位体比の間には、δ^<13>C_1<δ^<13>C_2<δ^<13>C_3<δ^<13>C_4<δ^<13>C_5の関係があった。これは、ケロゲンや石油のような高分子炭化水素の熱分解反応によってこれらの分子が生成される場合に予想される同位体分別効果を反映しており、炭化水素が熱分解起源であることが明らかになった。 二酸化炭素の同位体比の正確な測定のためのガス精製ラインを現在製作中であり、これが完成し次第、更に多くの火山ガス試料の分析や、岩石包有物中の炭化水素の分析を始める。 本研究では当初から炭素化合物の炭素の同位体比などの情報を希ガスの同位体比や存在度と組み合わせることを計画していたが、マントル起源のネオン、キセノンを含む天然ガスが中国東部の試料で見つかった。希ガスの測定結果は既に学会発表、論文投稿を行ったが、現在これらの試料の炭素同位体比の特徴との関係について考察中である。 本年度はカムチャッカ半島の火山研究の第一人者である2名の研究者(地質学と地球化学分野)を招へいし、我が国で火山ガスの採取、測定法の比較・検討などについて有益な共同研究を行った。
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