研究概要 |
反応分子間構造を決めることは、分子クラスター内反応研究の基礎として極めて重要な意義がある。そのため、本研究では、新しいクラスター構造の実験的研究方法を開発した。 1.分子クラスターの赤外紫外二重共鳴分光法の開発とフェノール・水クラスターのOH伸縮振動領域の赤外分光 差周波発生を利用して、3000cm^<-1>領域の赤外光を発生し、IR-UV二重共鳴分光法によって、フェノールの水素結合分子クラスターPhOH-(H_2O)_<n'>n=1〜4のOH伸縮振動領域の赤外スペクトルを観測した。nの増加に伴って、フェノールのOH振動数が段階的に減少すること、水側のOH振動では対称的振動(ν_1)の振動数変化や分裂が大きいこと、および、逆対称振動(ν_3)は僅かな変化に留まることなど、クラスター構造に関する重要な実験事実を見いだし、その一部を速報学術誌に公表した。 2.フェノール・水クラスターイオン構造の分光研究 IR-UV二重共鳴分光法とイオントラップ法を結合して、[PhOH-(H_2O)_n]^+、n=1〜4の安定構造を電子遷移と振動分光の両面から解析した。その結果、クラスター内プロトン移動がクラスターサイズに依存していることを見いだし、n=1,2では非移動型が、n≧3ではプロトン移動型が、それぞれ安定構造であることが分かった。その結果の一部を学会誌に公表した。
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