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1994 年度 実績報告書

Surface photochemistryの基礎的電子過程に関する理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 05403006
研究機関京都大学

研究代表者

中辻 博  京都大学, 工学部, 教授 (90026211)

研究分担者 中井 浩巳  京都大学, 工学部, 助手 (00243056)
波田 雅彦  京都大学, 工学部, 助手 (20228480)
キーワード表面光化学反応 / Dipped Adcluster Model / SAC / SAC-Cl法 / 光刺激脱離 / 光触媒反応 / 非断熱遷移 / 量子化学
研究概要

本研究の目的は、理論的な立場から表面光化学反応の電子プロセスを明らかにすることである。表面-分子系の理論モデルとしてDipped Adcluster Model(DAM)を用い、その系の基底状態と励起状態の電子構造及びエネルギーをSAC/SAC-Cl法などの量子化学計算により求めた。以下に具体的な研究成果を述べる。
表面光化学反応の1つとしてPt表面上のNO,COの光刺激脱離の電子的メカニズムについて研究を行った。NOの光刺激脱離の電子的メカニズムは、昨年報告したCOの場合と同様、単一の励起状態を経由して起こるのではなく、非断熱遷移を起こしながら進行することが明かとなった。また、脱離種は中性NO分子のみであることが理論的に示された。これは、COの場合CO^+(カチオン)が脱離することと異なる。しかし、中間体としてNO^+(カチオン)やNO^-(アニオン)が存在していることも明らかになった。
CO分子が光照射により脱離するという現象では、遷移金属カルボニル錯体の光分解反応が知られている。今回、Ni(CO)_4に対して光分解反応の電子的メカニズムを明らかにした。特に、正四面体構造をしたNi(CO)_4が励起し、1つのCO分子が解離する過程のポテンシャルカーブを求めることに成功した。また、この光分解反応中に観測されている発光が、Jahn-Teller効果により平面構造から歪んだNi(CO)_3^+の脱励起によることが明かとなった。
オレフィンの光異性化や光酸化などの光触媒反応を示すことが知られている固定化バナジウム酸化物触媒に関して、その基底状態と励起状態の反応性を調べた。実験的に観測されている光吸収及び燐光スペクトルが理論計算により再現され、それらがV=0二重結合のπ-π′励起とその性質を持つ三重項状態から脱励起に対応していることがわかった。また、バナジウム酸化物表面には、エチレンは基底状態では吸着しないが、上記の励起状態ではバリアーなく吸着することが示された。これは、バナジウム酸化物表面の示す光触媒反応の第1段階として注目すべき現象である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (11件)

  • [文献書誌] H.Nakatsuji: "Hyperfine Splitting Constants Studied by the Symmetry Adapted Cluster-Configuration Interaction Method" J.Chem.Phys.100(8). 5821-5828 (1994)

  • [文献書誌] H.Nakatsuji: "SAC-Cl Study on the Excited and lonized States of TiBr_4 and Til_4" J.Chem.Phys.101(9). 7658-7671 (1994)

  • [文献書誌] H.Nakatsuji: "Theoretical Study on Metal NMR Chemical Shifts.Germanium Compounds" Intern.J.Quantum Chem.49. 279-290 (1994)

  • [文献書誌] H.Nakatsuji: "Theoretical Study on the Molecular and Dissociative Adsorptions of H_2 on a ZrO_2 Surface" J.Phys.Chem.98. 11840-11845 (1994)

  • [文献書誌] M.Hada: "Theoretical Study on the Reaction Mechanism and Pegioselectivity of Silastannation of Acetylenes with a Palladium Catalyst" J.Am.Chem.Soc.116. 8754-8765 (1994)

  • [文献書誌] S.Jitsuhiro: "Theoretical Study on the Ground and Exited States of the Chromate Anion CrO_4^<-2>" J.Chem.Phys.101(2). 1029-1036 (1994)

  • [文献書誌] H.Nakatsuji: "Cluster Model Study on GaAs Epitaxial Crystal Growth by Arsenic Molecular Beam.III,As_4 Molecular Beam." Surf.Sci.

  • [文献書誌] H.Nakai: "Mechanism of Photochemical Reaction of Parmanganate Ion." J.Mol.Struc.(Theochem).

  • [文献書誌] H.Nakatsuji: "Guage-Invariant Basis Sets for Magnetic Property Calculations" J.Chem.Phys.

  • [文献書誌] H.Nakatsuji: "Spin-Orbit Effect on the Magnetic Shielding Constant Using ab initio UHF Method" Chem.Phys.Lett.

  • [文献書誌] M.Hada: "Spin-Orbit Effect on the Magnetic Shielding Constant Using ab initio UHF Method Gallium and Indium Tetrahalides" Chem.Phys.Lett.(in press).

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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