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1994 年度 実績報告書

特異な物性・機能を有する新しいπ電子系の創出

研究課題

研究課題/領域番号 05403007
研究機関大阪大学

研究代表者

小田 雅司  大阪大学, 理学部, 教授 (60004438)

研究分担者 蔵田 浩之  大阪大学, 理学部, 助手
川瀬 毅  大阪大学, 理学部, 助手 (10201443)
岡田 恵次  大阪大学, 理学部, 助教授 (50152301)
キーワード拡張π電子系 / フルベンオリゴマー / ポリアニオン / 多重項分子 / 拡張トリメチレンメタン / 電子物性 / ポリカチオン
研究概要

特異な物性を有する新しいπ電子系の開発に向けて昨年度3テーマの研究を遂行したが、今年度はそれらも含めて以下の4テーマについて研究を実施した:(a)鎖状および環状オリゴフルベン類の研究、(b)芳香環で拡張されたトリメチレンメタン類とそのジカチオン、ジアニオンの研究、(c)複数のホウ素を含むアリールボラン類の研究、
(d)円筒状にπ電子を配列する特異な分子の合成と物性の研究、である。
(a)については、昨年度鎖状4量体までのオリゴマー並びに環状4量体と6量体の合成を達し、それらの物性を詳細に研究するとともにアルカリ金属還元を行いポリアニオン類を得て興味ある知見を加えることができた。これらの成果の一部は既に公表した。今年度はこの研究をさらに発展させるために、ペンタフルベンを代えてヘプタフルベンやブタトリエンをユニットとする交差共役分子オリゴマーの合成を検討し、今までにそれぞれ三量体までの合成を達成した。現在それらの物性を詳細に検討している。
(b)については昨年度ベンゼン環およびチオフェン環で拡張されたトリメチレンメタン誘導体のジカチオン類初めての合成に成功した。これらのジカチオンの最大の特長は近赤外部に強い吸収を持つことであり特異な色素と言える、今年度はまず、チオフェンで拡張されたトリメチレンメタンジアニオンの生成を検討し、その合成と同定に成功した。さらに、ジラジカルの生成も検討したが今までのところ三重項に期待されるESRスペクトルを得るには至っていない。この研究はさらに、広くトリアリールメタンを基本構造とする新規π電子系への展開を計っている。
(c)については、立体保護効果をもつジメシチルボリル基をユニットとする多核ホウ素共役分子の比較的多数の種類の合成に成功し、それらのアルカリ金属還元により、興味あるアニオンラジカル、ポリアニオンが得られることを昨年度見いだしたが結果の一部を公表した。さらに研究を続けている。
(d)についてはパラフェニレンとアセチレンをユニットとする大環状分子を設計、合成を検討し、各4ユニットから成る分子の合成にほぼ成功している。この分子は大きなひずみを有しており、化学的に、活性である。
これらの研究には、詳細な分子構造の解明が重要で、昨年度購入したX線解析装置は大きな威力を発揮している。今年度購入したガスクロマトグラフ装置は合成中間体分析、精製に使用している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] T.Kawase,T.Osawa,T.Enomoto,M.Oda: "Synthesis of 2,3,4,5-Tctra(2-thicnyl)cyclopcntadicnonc Exhibitine Considerable Substitucnt Effccts and Synthctic Utility." Chemistry Lett.1994. 1333-1336 (1994)

  • [文献書誌] K.Okada,K.Maehara.M.Oda: "A Novcl Photochemical Reaction of[3]Dendralene Dcrivativcs." Tetrahedron Lett.35. 5251-5252 (1994)

  • [文献書誌] T.Kawase,C.Wei,N.Ueno,M.Oda: "16,6-Di(5-mcthylthiophen-2-yl)-2,5-dimcthvlcnc-2,5-dihvdrothiodhcncldivclium Dcrivativcs.Stablc Trimctnylcncmcthanc Dications Extondcd with Thioohcncs." Chemistry Lett.1994. 1901-1904 (1994)

  • [文献書誌] H.kurata,T.Kawase,M.Oda: "Alkali Metal Reduction of Oligo-6-(2thicnyl)pcntafulvenes.Synthesis of Oligothienylcncmethines Attached with Cyclopentadicnide Groups." Chemistry Lett.1994. 2219-2222 (1994)

  • [文献書誌] T.kumagai,M,Ohno,K.Mitani,K.Yamamoto,M.Oda: "Thcrmolysis of Dicyclopentadicnylmethyl Alcohols.A Novcl Synthesis of Fulvcncs." Bull.Chem.Soc.Japan.68. 301-304 (1995)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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