研究概要 |
「表面にのみ存在するPseudo Molecule(擬分子)あるいはQuasi Compoundの生成と配列」と言う新しい概念を提出し、本科学研究費助成で作製した走査トンネル顕微鏡(STM)を用い直接実証することに成功した。その結果、これまでに存在しない新しい化合物の「反応性」や「電子状態」をアトムレベルで明らかにする等、新しい低次元物質系の化学として展開させることに成功した。即ちDME社(デンマーク)の超高真空STMを化学反応用に設計製作した超高真空装置に装備し、Cu(110),Ag(110),Ni(110),Pt-Rh(100)等の表面で疑似化合物の生成と配列を原子スケールで捉えることによって、原子スケールの構造制御が可能になり、21世紀の究極の技術とされるアトムテクノロジーを可能にするかもしれない「化学反応を用いたナノ構造の創成」に成功した。即ちAg(110)表面に化学反応を用いて(-Cu-O-)一次元鎖を並べ、さらに、(-Cu-O-)からCu原子6個のクラスターを作りAg(110)表面<110>方向に配列させることができた。また、この実験から「アトムペインティング」及び「アトムスケールの選択的光反応」と名付けた「ナノ構造」技術につながる全く新しい現象を見つけた。その他Pt-Rh(100)表面が触媒活性を示すにはp(3x1)LEED像を示す表面に変化することが不可避的であることとその原子配列を明らかにすることに成功した。
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