研究概要 |
1.イオノフォア含有液膜界面における電荷分離をFTIR-ATR法を用いて観測し,μmオーダーの深さの膜界面でカチオンのパームセレクティビティが達成されていることを見出した(Anal.Chim.Acta,282,247(1993)).更に界面近傍のDebye長程度で生起する化学現象のキャラクタリゼーションのため,光第二高調波(SHG)現象を液膜界面観察に初めて適用し,最密充填でDebye長以下の厚さで配向したカチオン錯体層(電荷分離層)がSHG活性種として存在していることを見出した。(Anal.Sci.,9,715(1993)). 2.有機アミンゲストの疎水部の形状を認識する定まった構造の内孔とプロトン化アミン部位を認識するカルボニル酸素原子を有するカリックス[6]アレンに基づく液膜が,ドーパミンに対する電位応答識別能を有することを見出した(Anal.Chem.,65,927(1993)).また環状ジオキソポリアミンに基づく液膜が,平面正方形型構造と八面体型構造の金属シアノ錯体アニオンを電位応答識別する現象を見出した.これはホストの平面アミド部位と平面正方形型ゲスト間の相補性に基づく選択的な錯形成のためと考えられた(Electroanalysis,5,731(1993)). 3.長鎖アルキル型シクロデキストリンの圧縮単分子膜を用いて,ホストの内孔(チャンネルの入口)を通過できる大きさのマーカー(P-キノン)について,ゲスト(シクロヘキサノール等)添加によるマーカー透過性の変化をintrough cyclic voltammetryにより測定した結果、ゲストによるチャンネル入口のブロックに基づく分子内チャンネルの透過性制御が可能であることが明らかとなった(Anal.Chem.,65,927(1993)). 4.Na^+/D-グルコース共輸送蛋白質を脂質二分子膜に包理することにより,Na^+の電気化学ポテンシャル勾配によりD-グルコースを特異的に能動輸送するセンサーを作製した.このセンサーは,10^<-9>Mという低濃度のD-グルコースを検出することが可能である(Anal.,Chem,65,363(1993)).
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