研究概要 |
1.イオノフォア含有液膜界面で生起する化学現象のキャラクタリゼーションのため,光第二高調波(SHG)現象を界面観察の手法として初めて適用し,生成したカチオン-イオノフォア錯体が界面の極く浅いDebye長程度の領域で密に配向していることを見出した.また,液膜の目的イオンに対する電位応答とSHG強度変化との相関より,膜界面で配向したSHG活性な錯体カチロン種が主に膜電位を支配していることを明らかにし,SHGより見積もった界面電荷密度により定量的に解析した(Anal.Chem.,67,570(1995)). 2.イオノフォアと膜溶媒のみから成る純液膜系の電荷分離をISFETを用いて測定し,液膜中のイオン性サイトの存在が目的イオンに対する電位応答のために不可欠であることを明らかにした(Electrochim.Acta,in press). 3.β-シクロデキストリン長鎖誘導体と極性の高い膜溶媒に基づく液膜が,有機アミンに対する電位応答識別能を有することを見出した.この液膜の電位応答選択性は,生成したシクロデキストリン-有機アミン錯体の液膜-試料溶液界面におけるgeometryによって発現しているものと考えられた(Microchim.Acta,113,233(1994)). 4.LaF_3固体表面からF^-イオンのみが選択的に支持電解質水溶液中に溶出することを見出した.LaF_3固体表面をXPS,FT-IR等で分析することにより,このF^-イオンの非化学量論的溶出の過程がLaF_3固体膜のイオン選択的電位応答の必須条件であることが分かった.(J.Electroanal.Chem.,378,205(1994)). 5.イオンチャンネルに基づく分子認識界面において,電気活性マーカーの性質(疎水性,から高さ)及び膜の性質(表面電荷,パッキングの程度)がバックグラウンド膜透過性に及ぼす影響について検討し,電荷を持たない膜の場合マーカーの親水性が高い程バックグラウンド透過性が低くなることを見出した(Anal.Sci.,10,343,(1994)). 6.カリックスアレン誘導体に基づくチャンネル膜のAFMによる直接観測を行なった(Langmuir,in press).
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