研究概要 |
既にオートクレーブと紫外・可視分光光度計、ならびに原子吸光光度計から構成される高温アルカリ水溶液の“その場"測定装置の試作の段階を終え、測定条件の確立と信頼性確保についても実用上問題ないことを確認した。その上でアルカリ水熱条件下における金属イオン種の基礎データ採取と金属生産工学への応用に着手しており、種々の金属-アルカリ水系においても測定対象の展開をはかった。以下に具体例を示す。 1.アルカリ水熱条件下における金属イオン種の基礎データ採取 1.1 Cu-NH_3-H_2O系 紫外/可視分光光度計を主体とする水溶液のin-situ分析装置の信頼性をチェックした上で、分光測定が最も適した系の一つであるCu(I)/Cu(II)アンミン錯体の酸化還元反応の解析を行った。更に高温水溶への適用を試み、300℃という非常に高い温度でも本装置で定性的に分光測定を行なえることを実証した。 1.2Nb,Ta-NaOH-H_2O系 サンプリング法により300℃までの温度範囲でNb,Taの溶解度測定を行なった。 2.金属生産工学への応用 2.1 Cu-NH_3-H_2O系 アルカリ熱水条件下におけるCu(II)アンミン錯体の安定限界を目標温度である300℃までの範囲で測定し、鉄スクラップの脱銅処理には最適温度があることを明らかにした。 2.2 Nb,Ta-NaOH-H_2O系 溶解度測定の基礎データを元に、実際のNbまたはTa鉱石を用いてアルカリ水熱抽出の可能性について検討した。
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