研究課題/領域番号 |
05403021
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
御園生 誠 東京大学, 工学部, 教授 (20011059)
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研究分担者 |
犬丸 啓 東京大学, 工学部, 助手
奥原 敏夫 東京大学, 工学部, 助教授 (40133095)
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キーワード | ヘテロポリ酸 / 固体高分解NMR / 擬液相 / 吸収アルコール / ダイナミクス解析 |
研究概要 |
本研究は分子性触媒素材であるヘテロポリ酸を取上げ、触媒表面化学種と固体触媒自身のダイナミクスを固体高分解能NMR法により解明することを目的としている。平成6年度は以下の結果を得た。ヘテロポリ酸擬液相中で進行するエタノール脱水反応の素過程を固体NMRで追跡するため、温度可変プローブおよびガラス製密封型試料管を用い検討した。ヘテロポリ酸の中心元素である^<31>P NMRおよびエタノールの^1H、^<13>NMRスペクトル解析から、プロトン化エタノール単量体、二量体さらにエトキシ基の存在を明らかにした。現在、メトキシおよびエトキシ基などの中間体の動的挙動を緩和時間の温度依存性の測定によって解析している。メタノールやエタノールはH_3PW_<12>O_<40>に大量に吸収されプロトン化アルコールになって擬液相を形成すること、さらに、温度上昇に伴い、これらはアルコキシ基に変化することをNMRで確認できた。 さらに^<31>P NMR化学シフトの値がポリアニオンに直接結合しているプロトンの数によって本質的に決まることを見出し、セシウム酸性塩をはじめとするヘテロポリ超微粒子触媒内のバルク内および表面のプロトンの分布を解明した。これらの塩のプロトンとセシウムイオンは加熱過程でバルクおよび表面全体に移動しランダムに分布することを見出した。このことよりヘテロポリ酸のセシウム酸性塩が高活性であるのは、酸性が強いこと、表面酸量が多いことを明らかにし、さらにポリアニオンとの二元機能性が寄与しているためと推定できた。 以上、本研究では複合酸化物上で進行する分子変換過程を反応分子の動的挙動と反応を促進している表面原子の役割を同時に解明しようとする独創的な試みであり、成果をあげつつある。
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