研究課題/領域番号 |
05403021
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
御園生 誠 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20011059)
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研究分担者 |
羅 圭泰 東京大学, 工学系研究科, 助手 (10272402)
犬丸 啓 東京大学, 工学系研究科, 助手 (80270891)
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キーワード | 触媒 / 固体NMR / 分子ダイナミックス / ヘテロポリ酸 / 擬液相 / 分子設計 / 酸強度 / 酸点 |
研究概要 |
ヘテロポリ酸触媒が反応分子をとりこんでつくる擬液相は、プトロンとヘテロポリアニオンが二次機能的に作用する3次元の特殊反応場と考えられ、本研究では触媒表面化学種と固体触媒自身のダイナミクスを特に固体高分解能NMRによって明らかにすることを目的とした。また、分子レベルの細孔を持つゼオライトとプロトンとの相互作用を比較した。ヘテロポリ酸擬液相にメタノール分子を吸収させると、吸収量に応じてプロトン化メタノールモノマー(吸収量アニノン当たり3分子未満)、ダイマー(3〜6分子)が生成した。吸収量が3分子未満では、余分なプロトンはヘテロポリアニオンの架橋酸素上に位置し、^<31>PNMRが低磁場にシフトした。6分子/アニオン以下ではメタノール分子は運動性が低いが、触媒のプロトンとメタノールのヒドロキシプロトンは速い交換を示した。^1HNMRピークは-10ppm付近であり、超強酸の値に近い。メタノール吸着量が6分子/アニオンを越えると急激に運動性が増大し、プロトンスペクトルが先鋭化した。固体状態で鋭いプトロンスペクトルが得られることは極めて希で、その高い分子運動性は擬液相の特徴といえる。水の吸収では6分子/アニオンで安定な構造をとるが、メタノール分子の運動性の急激な変化は、吸収量6分子/アニオン以下でのポリアニオン、プロトンとメタノール分子の安定な複合体の生成を示唆する。一方、代表的なゼオライトであるH-ZSM-5にメタノールを室温で吸着させると、ヘテロポリ酸と異なりごく一部のプロトンしかメタノールと相互作用できないことがわかった。酸強度の分布や細孔構造中の酸点の位置に起因すると考えられる。 さらにメタノールのヘテロポリ酸擬液相を加熱すると、150℃でヘテロポリアニオン上のメトキシ種が観測された。これは脱水反応の中間体が擬液相の特徴故に固体NMRにより観測されたと考えられる。
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