研究概要 |
1.MnO_2粒子を取り込んだポリアニリン膜の電池活物質としての特性 β-MnO_2粒子あるいはリチウム化したMnO_2粒子を分散させたピロール水溶液を電解酸化することにより,それらの粒子を取り込んだポリピロール膜(PPy/MnO_2)を調製した。得られた膜をリチウム2次電池の正極活物質として用いたところ,MnO_2とポリピロールの両者のレドックス反応が有効に機能し,単位体積当りの充放電容量は単独のポリピロール膜の約2倍となった。またその反応機構を明らかにした。 2.TiO_2を取り込んだポリアニリン膜の光還元反応の解析 TiO_2粒子を取り込ませたポリアニリン膜(PAn/TiO_2)を,メタノール溶液に浸漬し,光照射を行うことによりポリアニリンが還元されて光画像が形成される反応について,反応速度を水晶発振子微小重量測定法(QCM法)を用い,光照射を行いながらin-situに膜の重量変化を測定することにより求めた。そしてディジタルシミュレーションによるフィッティングを行うことにより,ポリアニリンのプロトン化反応および,TiO_2粒子内の励起電子によるポリアニリンの還元反応の反応定数を算出し,それらに対する反応条件の影響を明らかにした。 3.CdS半導体粉末粒子を取り込んだポリアニリン膜の調製と光還元反応 アニリンを溶解した塩酸水溶液に市販のCdS粒子を分散し,溶液を撹拌しながら電解酸化することによって,CdS粒子を取り込んだポリアニリン膜(PAn/WO_3)を調製することができた。膜中に取り込まれたCdS粒子の量は最高で約50wt%にまで達した。調製した膜を,正孔捕捉剤であるエチレンジアミン四酢酸を含む中性水溶液に浸漬して可視光を照射すると,光照射部分のポリアニリンが還元され,光画像が形成されることを見出した。さらに取り込ませるCdS粒子に数wt%の白金を担持することにより、光還元反応の反応速度を大幅に改善できることを明らかにした。
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