研究概要 |
単結晶が有する特性を最大限に引き出すためには目的とする単結晶の高品質化が基本である.各種の光学デバイスや電子デバイスの高性能化,高信頼化,小型化はますます必要となることは明かである。したがって、多様な用途を持つ単結晶の高品質化を目的として育成時に生成する欠陥の抑制・低減させる育成法を確立するとともに、その生成機構を明らかにすることは極めて重要である.このような観点から、本年度行った研究成果は次のとうりである。 (1)ルチル単結晶に関しては,小傾角粒界の制御に効果のあるAIと同様に不純物元素ZrとScを添加し,育成条件と小傾角粒界の生成状態との相関関係について明らかにし、とくに育成結晶の光学的な評価をにより欠陥発生機構を解明し,高品質化の単結晶を育成することができた。 (2)三重ルチル型酸化物の育成では,NiTa_2O_6の育成を行い、この光学的性質を明らかにした。その単結晶の屈折率はn_0=2.29,n_e=2.44であり、また光透過率は300-500、650-900、1100-1600nmに強い吸収が認められた。 (3)水晶はNH4F水溶液やケイフッ化ナトリウム水溶液などを用いて水熱育成した。アルカリ溶液を用いた従来の育成(〜400℃,〜200MPa)よりも低温低圧(〜300℃,〜100MPa)下で水晶を育成でき,結晶のZ軸方向の成長がX軸方向に比べ非常に速いことが明かとなった.しかし、その育成結晶はかなり欠陥が多くデバイスとして実装するには程遠いものであった。
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