研究課題/領域番号 |
05403024
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡部 良久 京都大学, 工学部, 教授 (70025956)
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研究分担者 |
和田 健司 京都大学, 工学部, 助手 (10243049)
近藤 輝幸 京都大学, 工学部, 助手 (20211914)
光藤 武明 京都大学, 工学部, 教授 (90026344)
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キーワード | ルテニウム錯体触媒 / 炭素-炭素結合生成反応 / アリル化反応 / 炭素求核剤 / アセチレン / ノルボルネン |
研究概要 |
我々は、ルテニウム錯体を触媒とする新規合成反応を多数検討しており、その過程においてルテニウム錯体触媒では、配位子の中心金属に及ぼす電子的影響がパラジウム等の場合に比較して格段に大きいこと、およびπ-アリルルテニウム錯体が反応する基質により、求核的に反応したり、求電子的に反応したりする現象(ambiphilicity)を有すること等の特異的反応性を有することを明かにしてきた。本研究では、これらルテニウム錯体触媒の特異的な触媒機能を最高度に発揮させることを目的とし、まず、1.π-アリルルテニウム錯体の高い求電子性を利用した炭素求核剤の位置選択的かつ特異的アリル化反応を開発した。本反応は、より立体障害の大きいアリル炭素上で高選択的に進行する。本反応の特異な位置選択性はパラジウム等の他の遷移金属錯体触媒では達成できず、ルテニウム錯体触媒に特徴的なアリル化反応である。一方、2.新たに開発したCp^*RuCl(COD)触媒系によるオレフィン類とアセチレン類との共オリゴメリゼーションを開発した。即ち本触媒系により、ノルボルネン類とアセチレン類との高選択的[2+2]環化共二量化反応が良好に進行し、対応するシクロブタン誘導体が高収率で得られた。我々は既に、本反応がRu(cod)(cot)錯体等の低原子価ルテニウム錯体で進行することを見いだし報告しているが、本触媒系によりアセチレン類の適用範囲が飛躍的に広がった。またハロゲン配位子の影響や銀塩の添加効果を検討した結果、本反応はカチオン性“Cp^*Ru^+"種による反応ではなく中性の“Cp^*RuCl"種により進行していることが明かとなった。即ち本反応は中性の“Cp^*RuCl"種で進行した接触的炭素-炭素結合生成反応の最初の例である。また本反応の鍵中間体としてルテナシクロペンテン錯体の生成を提唱した。
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