ボンビキシン活性に重要な部位を絞り込むため、インスリンとのハイブリッド分子(A鎖、B鎖を互いに交換したもの)を合成し、その生物活性を調べたところ、B鎖がボンビキシン型であるものには弱いながらボンビキシン活性が見いだされた。次に、B鎖内でも特に重要な部位を明らかにするために、ボンビキシンのA鎖とインスリンのB鎖からなるハイブリッド分子のB鎖を部分的にボンビキシン型に置換したキメラ分子を合成し、その生物活性を調べたところ、B鎖中央領域(TyrB6-LeuB18)がボンビキシン型であればボンビキシン活性が完全に保持されることが明らかになった。現在、この分子の立体構造の解析を進めており、天然型ボンビキシンとの立体構造の比較を行う予定である。また、B鎖中央部領域のうち特に重要な残基を特定するため各残基をアラニンに置換した一連の類縁体を合成する予定である。 PTTHについては分子内のジスルフィド結合の架橋様式を最終的に決定するとともに、変異型PTTHを遺伝子工学的手法を用いて合成する方法を確立した。この手法を用いて、ペプチド鎖間のジスルフィド結合を架橋しているシステイン残基を他のアミノ酸に置換したモノマー型PTTHの合成を試みたが、ジスルフィド結合の再架橋がうまく進まず、現在再架橋の条件を検討している。また、NMR測定のためのラベル化の条件についても検討を加えたが、測定に必要な量のラベル化PTTHを得るには至っていない。今後は結晶化の条件検討に重点を置く予定である。
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