1.ボンビキシンの各種NMRスペクトルを測定し、得られたNOE情報をもとにディスタンスジオメトリーによる計算からボンビキシンの立体構造を明らかにすることに成功した。 2.インスリンとのハイブリッド分子およびキメラ分子を合成し、ボンビキシン活性にはb鎖中央領域(TyrB6-LeuB18)が重要であることを明らかにした。 3.ボンビキシン-IIの受容体認識部位の立体構造上の特徴を明らかにするために、ボンビキシンIIの場合と同様に2で合成した分子の立体構造を決定し、比較した。その結果、活性のある分子に特徴的なB鎖中央部の8残基(TyrB6、ArgB9、AlaB12、ArgB13、ThrB14、AlaB16、AspB17、LeuB18)のうち、ThrB14、LeuB18を除く6残基が分子表面に露出して特徴的なパッチを形成しており、これらが直接ボンビキシン受容体と結合することが示唆された。 4.PTTHについてNMR測定を行なったところ、N末端およびC末端部分はかなり揺らいでいるものの中央部分はしっかりとした立体構造をとっていることおよびβシート構造に富むことが明らかとなった。 5.コンピューターを用いた分子モデリングからPTTHは2つのβシートを持ち、シスチンノットスーパーファミリーと同様の立体構造を有していることが示された。 6.NMRによる立体構造の決定のためPTTH分子の安定同位体ラベル化を試みたが、生産量が低く、培地等の改良が必要であると思われる。また、結晶化の条件も検討したが、現在までに適当な条件を見いだすことができていない。
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