研究課題/領域番号 |
05403035
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
楠本 正一 大阪大学, 理学部, 教授 (30028253)
|
研究分担者 |
深瀬 浩一 大阪大学, 理学部, 助手 (80192722)
隅田 泰生 大阪大学, 理学部, 助手 (70179282)
若宮 建昭 大阪大学, 理学部, 助教授 (10028243)
|
キーワード | 複合糖質 / リン酸化ペプチド / リピドA / リポタイコ酸 / 免疫増強活性 / 構造解析 / 合成 |
研究概要 |
生体機能の調節に関わる様々な複合糖質やペプチドなどの天然有機化合物を対象にして、その機能を担う化学的本体とその作用の機構を解明することを目指し、本年度は免疫増強活性などの多彩な作用を示す細菌表層複合糖質とリン酸化ペプチドについて、構造ならびに合成研究を行った。まずリポ多糖の活性部位・リピドAについて、種々の鎖長の光学活性ヒドロキシ酸の調製法とそれを含むリピドAの簡便な合成法を完成させて、分子の立体構造と生物活性に対する脂肪酸部の役割を明らかにする道をひらいた。さらにグラム陽性菌のリポタイコ酸画分に報告されているサイトカイン誘導活性の本体を追及した。すなわち、連鎖球菌の菌体から含水フェノールで抽出される活性画分を疎水クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどを組み合わせて分画した結果、大部分を占める活性のない成分を除去して、強い活性を示す数種の画分を得ることに成功した。予備的な組成分析ならびに構造解析の結果から、これらの画分は従来リポタイコ酸に推定されていたものとは異なる構造を有すると推定されるので、その精密な構造研究を次年度以降に行う予定である。ミコバクテリアから得られる両親媒性物質についても同様に精製を進め、ほぼ単一な成分を分離することができた。購入したガスクロマトグラフ質量分析計とNMR解析システムはこれらの過程で脂肪酸や糖成分の分析ならびに構造解析に極めて有効に利用できた。一方、蛋白質の機能調節に重要な役割を果たしているリン酸化についての研究を進めるために、その基礎となるリン酸化ペプチドの化学合成を進めた。その結果、液層法における有効なリン酸保護法を確立して、さらに固層合成に適用可能な改良を行うことができた。
|