研究課題/領域番号 |
05404001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大路 樹生 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (50160487)
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研究分担者 |
遠藤 一佳 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80251411)
千葉 聡 静岡大学, 理学部, 助手 (10236812)
棚部 一成 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20108640)
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キーワード | 棘皮動物 / 5放射相称 / 進化 |
研究概要 |
棘皮動物の5放射相称に関する研究のうち、本年度は(1)化石棘皮動物の5放射相称の起源と進化、(2)5放射の構造的な考察、の2点を中心に行ない、(3)5放射相称の分子生物学的研究に関しては、その予備実験を開始したにとどまっている。それぞれの結果を示すと以下のようになる。 1.カンブリア紀の棘皮動物化石、および先カンブリア紀の棘皮動物とされている化石の形態をロンドンの自然史博物館での標本観察、および文献に記載された写真を検討した結果、これらの初期の棘皮動物の基本的な五放射相称の成立について新たなデータを得た。これは、これら初期の棘皮動物類がまず2-1-2の左右相称性を獲得し、その後に完全な5放射相称性が完成されたという考えである。この2-1-2のパターンは現生の棘皮動物類の歩帯溝に見られることもあり、このパターンが本来棘皮動物の基本的な対称性のパターンとなった可能性である。また、この2-1-2のパターンが成立する以前の棘皮動物は、先カンブリア代のTribrachidiumやHelicoplacoidesに代表されるように、三放射相称性を持っていた可能性もある。 2.5放射相称性の力学的な安定性や、形態学的な制約を考察し(殻板の継ぎ目の延長の問題や球状の構造を形成し、その内部に軟体部を収納する必要性等)、多くの相似形の殻板でこのような条件を満たすために5角形の形態が生じた可能性もある。 3.棘皮動物の五放射相称形成の発生遺伝学的研究を行うために、本年度において必要な実験機器類の大半を購入した。また実験機器が完備されるまでの予備実験として、腕足動物及び軟体動物を用いて海生無脊椎動物の遺伝子をクローン化する実験を行った。来年度はウニ類のホメオティック遺伝子の相補的DNAをハワイ大学より入手し、ホメオティック遺伝子の発現と五放射相称形成の関連についての本実験に着手する計画である。
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