中新世類人猿の食性に関する形態学的研究

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05404006
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 石田 英実 京都大学, 理学部, 教授 (60027480)
• 研究分担者: 荘村 泰治 大阪大学, 歯学部, 助手 (10154692) ; 黒田 末壽 京都大学, 理学部, 助教授 (80153419) ; 片山 一道 京都大学, 理学部, 助教授 (70097921)
• キーワード: 中新世類人猿 / 歯牙形態 / 三次元レーザー計測 / 三次元解析 / 人類起源 / 現世大型類人猿 / 生活様式 / 食性の分化

研究概要

現生ヒト上科の食性と歯牙形態の解析から、東アフリカ中新世類人猿と初期人類の食性を知ることがこの研究の目的である。
第2年度にあたる平成6年度の計画は、第1年度で導入した三次元計測・解析システムを駆使した現生および化石類人猿の歯牙形態の計測と解析、現生類人猿の食性調査、標本収集、さらに計測=解析システムの改良とデータベース化などにより食性と歯牙形態の関連を把握することであった。
計測と解析をおこなった現生類人猿はチンパンジー、ピグミーチンパンジー、ゴリラ、オランウータン、テナガザルであり、サル類はアカコロブス、ニホンザル、ナキガオザルで、化石ヒト上科はケニアピテクス、ニアンザピテクス、プロコンスル、サンブル、ホミノイド、ツルカナのアウストラロピテクスである。食性に関して調査、情報収集した現生の類人猿はチンパンジー、ゴリラ、オランウータンである。資料の収集はとくにオラン=ウータンを中心に若干の化石ヒト上科であった。計測=解析システムの改良では円筒座標系による解析を試み、計測においても若干速度を高めた。
結果の発表は、北海道での慟態学会大会、霊長類研究所での国際および国内の2つのシンポジウム、さらに鹿児島での人類学=民族学連合大会で行った。その中には3次元計測=解析システムの四肢躯幹骨化石への応用例も含まれ、今後、有限要素法を用いた歯の構造解析も計画している。

研究成果

• [文献書誌] Hidemi ISHIDA: "Three Dimensional Analysis of the Trigon Basinsof the First Upper Molars in Gorillas and Kenyapithecus from Nachola.Kenya:A Preliminary Study" Anthropological Science. 102. 178 (1994)
• [文献書誌] 石田英実: "アフリカにおける大型類人猿の犬歯形態似見られる性差" 霊長類研究. 9(3). 288 (1994)
• [文献書誌] 石田英実: "人類の析出に向けて(2)-ニアンザピテクス-" JANUSニュースレター. 4. 2-3 (1994)
• [文献書誌] Suehisa KURODA: "Tool using Behavior in Tschego Chimpanzees,Pan troglodytes troglodytes in the Ndoki forest." Behavior. (in press). (1995)
• [文献書誌] Suehisa KURODA: "Preliminary Report on Predetory Behavior and Meta Sharing in Tschego Chimpanzees (Pan t.troglodytes)in the Ndoki Forest.northern Congo." Primates. 36(in press). (1995)
• [文献書誌] 荘村泰治: "歯科補綴物のCAD/CAM製作法-クラウンのCAMによる製作-" 歯科材料と器械. 13(1). 61-66 (1994)
• [文献書誌] Suehisa KURUDA: "The Significance of Terrestrial Harbaceous Foods For Bonobos and Chimpanzees.In:Chinmpanzee Culture" Harvard Univ.Press, 59-75(424) (1994)
• [文献書誌] Kazumichi KATAYAMA: "Japanese as an Asia-Pacific Populations.In:Stirrup,Sail and Plough" Cambridge Univ.Press(in press), (1994)