研究課題/領域番号 |
05404008
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
石原 邦 東京農工大学, 農学部, 教授 (70014925)
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研究分担者 |
大川 泰一郎 東京農工大学, 農学部, 助手 (80213643)
平沢 正 東京農工大学, 農学部, 助教授 (30015119)
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キーワード | 光合成 / 根群の発達 / サイトカイニン / 水分屈性 / 耐乾性 / 土壌乾燥 / 水ポテンシャル / 老化 |
研究概要 |
作物の根は養水分吸収、植物ホルモンを含むいろいろな化合物の形成、環境に対する応答など個体の生育に重要な役割を果たしている。本年はこれらの役割について着目して研究を行い、以下の成果を得た。 1。植物の根は土壌水分を求めて成長するといわれているが、その実態は明らかでない。重力屈性を持たない突然変異体のエンドウをバ-ミキュライトに生育させて検討した結果、0.05Mpa以下の水ポテンシャルの落差に感応して屈曲することがわかり、作物を栽培している土壌中においても根は湿潤な場所にむかって成長することが考えられた。 2。ダイズの耐乾燥性の品種間差は主として根群の発達相違にあり、根群が土壌中に深く発達している品種は、土壌乾燥下においても日中葉の水ポテンシャルを高く保ち、高い光合成速度を維持しており、乾物生産、収量の低下の小さいことが明らかとなった。 3。水稲品種アケノホシは日本晴などに比べて、登熟期間中の葉の老化が遅く、単位時間当たりの根からの出液量が多いことが知られている。出液によって地上部へ送られたサイトカイニンを同位体稀釈法を用いて定性、定量した結果、登熟期間中常にアケノホシでゼアチン、リボシルゼアチンなどが多く、とくに結合体のゼアチン量が多いことを認めた。 4。C4植物のアワとキビを同一ポットに生育させ、土壌水分を低下させたところ、キビに比べて、アワは高い光合成速度を維持し、乾物生産量も多く、高い耐乾性を示した。この要因を検討した結果、両植物の耐乾性の相違は根の発達が異なるのではなく、地上部の水分状態を維持する性質が違うことにあることが推察された。
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