研究課題/領域番号 |
05404017
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野間 昭典 京都大学, 医学部, 教授 (00132738)
|
研究分担者 |
尾野 恭一 九州大学, 医学部, 助手 (70185635)
光家 保 京都大学, 医学部, 助教授 (40174065)
|
キーワード | 心ペースメーカー / イオンチャネル / 自動能 / 自家調節機転 |
研究概要 |
ウサギ心より洞房結節細胞を単離し、その膜電流を記録した。その結果以下の研究成果を得た。 1)過分極で活性化される陽イオン電流の開閉機構は、従来考えられていたものと比べかなり複雑である。過分極による電流の活性化はほぼ二つの指数関数の和として表すことができ、脱分極による電流の脱活性化は遅れを伴い、後半部分で初めて指数関数的な時間経過を示す。我々はこの電流の不活性化の時間経過をいろいろな外液陽イオン存在下に記録し、解析した結果、Liイオンでは脱活性化の遅れが最も著しく、続いてNaの順で、Kイオン存在下では遅れがほとんど見られず、指数関数で全経過が表せる。Liイオン溶液にKイオンを加えていくと、脱活性化の遅れが濃度依存的に短縮し、30mMKイオンでほぼKイオン溶液中で観察した電流経過とほとんど同じであった。この結果はチャネルの外液に面した部位に陽イオン結合部位が存在し、それによってチャネルの開閉が制御されていることを示唆している。チャネルの開閉機構を再現する数学モデルを作成し、ペースメーカー電位に対するこの電流の寄与を計算すると、極めて小さいことが結論された。 2)ムスカリン受容体で活性化されるカリウムチャネルはアゴニスト非存在下にも自発的に開口することが知られていた。単一ペースメーカー細胞に高K液を与えるとこのチャネル活動に基づく電流を内向き電流として記録できることを発見した。そこで、この電流をANPPNPや無Mg液によって抑制し、その抑制の経過についてノイズの分散と平均電流の関係を適用すると、この電流の全膜電流にしめる割合を求めることができた。その値は60-80%で、カリウムコンダクタンスの大部分はこのチャネル活動による事が結論された。
|