ウサギより洞房結節細胞を単離し、その膜電流を記録し解析した。以下の成果を得た。 1)従来、心ペースメーカー細胞の拡張期膜分極は遅延整流チャネルの脱活性化とL型C_aチャネルの不活性化からの回復によっており、さらに小さな電流系として過分極活性化陽イオンチャネルが存在するといわれてきた。我々はこれ等とはまったく異なる新しい電流系の存在を見い出した。このチャネルは-80〜Vの保持電流から-50〜-60〜Vへの脱分極で活性化し、脱分極中殆ど不活性化を示さないものであったのでsastained inward current としてIstと呼ぶことにした。この性質はいわゆるペースメーカー電流で活性化し、不活性化がないというもので、拡張期緩除脱分極とひき起す電流系として注目とあびている。薬理学的な性質はL型C_aチャネルとまったく同じであるか、外液のC_aイオンを増加すると電流の大きさが小さくなることからC_aチャネルとは異なる。 2)以上Istに関する成果を加えて、ペースメーカー細胞のbackground電極についての知見を得た。また、過分極で活性化される電極のSr^<2+>によるblockについての解析を行った。
|