研究課題/領域番号 |
05404031
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
川上 義和 北海道大学, 医学部, 教授 (10001877)
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研究分担者 |
近藤 宇史 長崎大学, 医学部, 教授 (00158908)
西村 正治 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (00208224)
宮本 顕二 北海道大学, 医学部, 助教授 (50190814)
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キーワード | 肺気腫 / 胸部CT / 気管支肺胞洗浄 / 肺胞マクロファージ / 好中球エラスターゼ / α1-アンチトリプシン / オキシダント / アンチオキシダント |
研究概要 |
肺気腫の外的要因として喫煙が最も重要な役割を果たしていることは良く知られているが、本研究は『喫煙に対する感受性』ともいうべき内的要因に注目した。エラスターゼ、アンチエラスターゼ不均衡の立場から、血液及び気管支肺胞洗浄液を用いて、喫煙感受性の個体差を検証した。さらに肺胞マクロファージの役割に着目し、そのオキシダント産生とアンチオキシダント産生のメカニズムを検証した。健康診断目的のボランテイアと当科外来通院患者約40名を対象に、呼吸機能検査、胸部レ線検査、胸部高分解能CT検査により健常非喫煙者、健常重喫煙者、早期の肺気腫患者の3つの群に分類し、採血と気管支肺胞洗浄を施行した。血液では、一般検査の他、ニコチン、コチニンを測定し喫煙暴露の客観的指標とした。血中及び気管支肺胞洗浄液上清中のエラスターゼ、アンチエラスターゼの量および活性を測定した。血中及び気管支肺胞洗浄液上清中のエラスターゼ-α1-アンチトリプシン複合体がそれぞれ、喫煙者において非喫煙者に比べ有意に高値を示し、同じ喫煙歴を有する健常喫煙者群に比べて早期肺気腫患者で有意に高値であった。このことは、今後個体感受性に関する特異的因子を検索していくうえでの第一歩である。気管支肺胞洗浄液より肺胞マクロファージを分離し、蛍光光度法によりオキシダント産生能、及び分光光度法によりCu,Zn-superoxide dismutase(SOD)、glutathione peroxidase(GPX)、catalase等のアンチオキシダント活性を測定した。高齢喫煙者においてはオキシダント産生能が亢進し、アンチオキシダント活性が低下していた。このことは、喫煙に対する生体反応の不均衡が加齢に伴って生ずる可能性を示している。
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