研究課題/領域番号 |
05404032
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
柳原 武彦 大阪大学, 医学部, 教授 (70243201)
|
研究分担者 |
上田 周一 大阪大学, 医学部付属病院, 医員
中村 雅一 大阪大学, 医学部, 助手 (50243225)
松本 昌泰 大阪大学, 医学部, 助手 (20192346)
|
キーワード | Cerebral Ischemia / Magnetic Resonance Imaging / Diffusin / Immunohistochemistry / Energy Metabolism / Microtubule-associated proteins / Selective Vulnerability / Cytotoxic Edema |
研究概要 |
脳血管障害特に脳梗塞の診断および治療法の確立のためには、鋭敏な虚血病変の検出法の確立と、それを用いた病態解明が必須である。申請者らは従来より局所ATP低下・乳酸蓄積が組織低酸素状態の指標となり、免疫組織化学的手法が組織学的に最も鋭敏な病変検出であることを報告してきた。本研究ではさらに、 1.脳内微少局所でのエネルギー代謝・グルコース代謝物質の定量と、免疫組織化学的変化との同時評価法を確立し、ATPの枯渇すなわちエネルギー不全状態が、免疫組織化学的病発生に不可欠であることを示した。 2.拡散強調MR画像法を導入し、局所水分子拡散能の低下がATPレベルの低下と密接に関連し、免疫組織学的変化に先行したことにより、エネルギー不全に随伴したイオンポンプ不全が、虚血障害発生の必要条件であることも示した。 3.脳内チトクローム酸化酵素とヘモグロビンの状態解析・に有用である近赤外透過スペクトル分析法により、虚血導入直後のチトクローム酸化酵素の還元化がATPレベルの低下に関連する事を示した。 4.微小管結合蛋白質とチュブリンの虚血障害発生に差があり、後者の障害がより重度即ち非可逆的障害の指標となることを示した。 5.免疫組織学的に障害の明らかな海馬CA1に於いて、N-Acetyl-Aspartateの低下が顕著であることから、本物質が非可逆的障害の生化学的指標となりうることを示した。 6.虚血性神経細胞障害発生予防に、アストロサイトが重要な役割を演じていることが示された。 7.後脳虚血モデルにおいても前脳虚血時と同様、選択的脆弱性の存在することを示した。以上の結果から、脳虚血障害発生、血流低下即ち酸素供給不全が、ATP枯渇等に見られるエネルギー不全状態を惹起し、細胞内イオンバランス不全を通して各種細胞骨格の崩壊をきたし、非可逆的障害をひきおこすという過程が明確に証明された。
|